冬の漁師休みで短期バイトしているのですが、海況ではなく曜日で仕事をすることの新鮮さ。
平日5日間仕事して、週末休める。そして3連休がうれしい!
テレビドラマなどで見るお勤めしている人の気持ちが少しわかった気がします。
年が明けて、「今年の漁はどうだろうね~」と夫と話したりします。
昨年は本当に海に行く回数が少なかったので、いくらなんでも今年はそれよりは多く行けるはずね~、あ~早く春になってモズク漁やりたいな~、タコもとりたい~、イカも楽しみ~、などと二人で話していると、もうたまらなく海に行きたくなります。
私にとって漁は、やりたいことが仕事になっている状態。
誰かのためとか、社会をよくするとか、役に立つとか、そういうことは全くなく、とにかく楽しい。好き。
だからやっている。
でそれが、誰かが喜んで買ってくれる。お金になる。
で、これが仕事になっている。
自分の職業を考えるとき、こんな仕事もあるんだな、と思いました。
これまでもずっと好きなことを仕事にしていたのですが、今ほど、漁師の仕事ほど、本能的に楽しい仕事はなかった気がします。
ダイビングインストラクターの時も、好きでやってはいたけれど、お客さんに喜んでもらえることがうれしくてがんばっていました。
出産後についた旅行業も、好きでやってはいたけれど、お客さんに喜んでもらえることがうれしくてがんばっていました。
漁師は、何より自分が楽しい。結果的に喜んでもらえているけれど、私の漁師へのモチベーションは完全に自分本位です。
私が一番楽しくてたまらない状態になるのは、タコ捕り。
素潜りで捕ります。
まずは水面を泳ぎながら、タコを探します。
タコは、良さそうな穴を見つけると、その中に詰まっているサンゴのかけらを外に出して片づけて、中に入るようです(入るところは見たことない)。
だから、そのサンゴのかけらや、食べたあとのカニ殻や貝殻が2~3個転がっていたら、タコのおうちの可能性大。
「ん?ここは…いるかも」と思ったら、潜っていって覗いたり、銛を突っ込んでみます。
夫はタコのおうちの場所を知っているので、まずはここ、次はあそこ、そして向こう、とおうちを順に見て行きます。
私はおうちを覚えられなくて、体力は使うんですが、とにかく数打ちゃ当たる方式で、とにかくすべての気になる穴という穴を覗きます。
で、「いた!」ってなるともう、たまらなく興奮します!
この時の気持ちがもう、表現にしくいのですが、何といえばよいか…
変なたとえなんですが、久しぶりに大好きな飼い主に会った犬みたいな感じで、どうしたらよいかわからないけどとにかくうれしくてしっぽブンブン!みたいな感じです。
さらにこの時、私は怖いという気持ちも混じります。
すごい複雑でしょ?
でもとにかく、そういうドキドキとワクワクが入り混じった、ちょっとおかしい精神状態になり、息がめちゃくちゃあがってしまいます。
いや、今からタコをとるために息止めて潜らないといけないんですけど…落ち着け!私。
まずはカギジャー(先がフックになっている道具)を穴に入れて、ゴソゴソ…
これでうまくタコが出てくれば、銛で急所を突いて、手でつかんで、引っ張り出すだけ。
夫はほんの5分くらいで1匹ゲットします。彼のタコ捕りの所作は無駄がなく美しく、本当に見惚れてしまいます…
私は、持久戦になることも多いです。
タコとの根競べ。
時間はかかるんですが、私があきらめることはほとんどないので、たいてい私が勝ちます。
引っ張り出したタコをつかんで、急所を突くと、タコはきれいに体の左右(どっちが右で左かよくわかりませんが)真ん中で色が分かれます。これがまた、美しい…
で、タコを、引っ張っているかごに入れて「よっしゃ!次!」
それで、興奮しすぎているので、いつもいつも「タコのおうちを覚えなくちゃ」と思っていたことを忘れてしまうんですよ~。
まあとにかく、1匹のタコを見つけて、捕って、かごに入れるまでに、何回も「たまらん!」ポイントがあります。
こうして思い出しながら書いていても、もうムズムズしますね!
私は3匹~多い時で7~8匹とります。夫は数十キロ捕る時もありますが、匹数で勝ったことも何度かあるんですよ!
タコ捕りだけでなく、ほかの漁もそれぞれいろんな「たまらん!」ポイントがあります。
一年でいろいろな漁をしていくので、飽きることもありません。
まあでも、タコ捕りだけ一年中やっても飽きる気がしない…楽しすぎる!
本当に、いつもいつも思うんですが、こんなに楽しい仕事ほかにあるかな、いや~無いよね、と。
うまく説明はできないのですが、本能的に興奮して楽しくてたまらん!というのは、どんな理屈にも勝ってしまう。
どんな立派な仕事、多くの人に役に立つ尊い仕事、儲かる仕事にも、代えがたい。
仕事としてだけでなく、「おいしいもの食べたい」とか「海外旅行行きたい」とかをはるかに超えて、「夫と漁行きたい!」と私は思います。
世の中には、仕事が大変で辛い人、世のため人のために身を粉にして働く人、早くお金を貯めてFIREしたい人、儲かる副業を探している人、などなど、いろんな方がいるな、と思います。
そんな中で、こんな楽しいことを仕事として堂々と一生懸命取り組める私はラッキーだな、と感じます。
もちろん、海寒いとか、すごい泳いで疲れるとか、日焼けで肌がカサカサとか…いろいろあるけど、漁の楽しさはすべてをはるかに超えてきます。
私は、好きなことで稼げるなら、こんなに良いことはないと思います。
だって毎日好きなことして暮らしていけるんだもの!
毎日楽しければ、一生楽しい!
人生は素晴らしい!
今年はもっともっとたくさんの漁ができますように!
素晴らしい一年になりますように!