島で湿度とともに生きる

風力発電 宮古島の暮らし

今季初の台風は終わった。
今朝はまだ北西からの風が強くて、洗濯物を外には干せないが、とりあえず雨戸を開けて、夫は台風対策の片付けのため船を係留している港へと出かけて行った。

やはり季節外れだったからか、水温もまだ大して温かくもなかったし、怖さは感じない台風だった。
昨日は一日中家にこもって、「推しの子」をamazonプライムでみながら、家族マージャンを楽しんだ。
停電がなかったのでパソコンでの在宅仕事もした。

なんだか普通の週末みたいな感じで過ごしてしまった。

台風と島の位置関係によって風向きが変わるが、今回は東→北→現在北西と、南風が吹かなかった。
南寄りの風が吹かないというのは、台風の時にはとてもありがたい。
なぜかというと、過ごしやすいのだ。
風向きと湿度はとても関係があり、北寄りの風は湿度が低くて、南寄りの風は湿度が高い。

宮古島では、普段から湿度が80%くらいある。
「今日はめちゃカサカサするな~」と感じる日でも50%くらい。
さらに台風は、島の周り中にある海水をたっぷりと巻き込んでいるので、台風前後の期間はめちゃくちゃ湿度が高くてべたべたした空気になる。
朝から洗濯物を外の日差しに干していても、夕方日が沈む前に取り込んで、再度室内の除湿機部屋に干しておかないと乾かない。

そんなわけで、台風の時に南風だと室内もべたべたして暑い。でも窓を開けられないし、扇風機やクーラーをつけても停電したらアウト。
おうちにこもって汗だくで、停電だと冷蔵庫は開放禁止になるから(できるだけ冷気を逃さず庫内の食材を守るため)、あらかじめ出しておいたぬるい水を飲んでしのぐことしかできない。そして、水を飲めばまた汗が噴き出ることになる。

苦行でしかない。

いろいろな経験をして、今では電池式もしくは充電式の扇風機を一人一台準備してあるし、冷蔵庫だけは守りたいので太陽光発電&蓄電池を導入し、いざとなったら車内でエアコン&スマホ充電できるように台風前に燃料満タンにしている。
それでもやっぱり、南風の湿度がない台風は、風の強さにもよるが、まあありがたい。
台風の進路を見るとき、夫は船と家の台風対策のために風向きを気にするが、私は台風の間の生活環境のために風向きを気にして予報を見るようにしている。

さて、沖縄の湿度の高さは、本土から嫁いできた私の常識をいろいろと変えた。
小さなころから、「多少高価でも良いものを長く使う」という母の教えを守っていたが、この、よく聞くフレーズは沖縄では成り立たない。
皮という皮はすべてカビるし、木製品もカビる。

昔、少ない給料を貯めて、ビルケンシュトックのあこがれの革靴を買った。
大事に履こうと思って靴箱にしまっていたら、翌月にはカビていた。
もちろん私のメンテナンスが甘かったのもあるだろうが、ショックで、20年以上たった今でも忘れられない。
久しぶりにクリアケースから出したお気に入りの革バッグもカビていた。
一緒に入っていたお気に入りではないカビた革バッグも革ポーチも革財布も、泣く泣くすべて捨てた。
思い切って買った桐のタンスもカビた。
これはさすがに捨てられず、アルコールでカビを拭き取り、北風の日にすべての引き出しを天日に干して、今も使っている。
湿気取りをいっぱい入れてあるし、湿度の低い日は全引き出しを少し開ける。

いやあ面倒くさいのなんの。

カラーボックスなんて、あまりにもカビるし、なんなら湿気取りのように材が膨らんでボロボロになってくる。
短命だと1年ももたない。
これまでいくつのカラーボックスを捨てたことだろう。

服にいたっては、カビだけでなく、直射日光の色あせも考慮すると、「良いものを長く」なんてできるわけがない。
リーズナブルなものを着たおす。
濃い色のTシャツは色あせし、明るい色は黒い点々(カビ…?)が目立ってきたら、ウエスにして使いたおして捨てる。
サイクルが本土とはケタ違いに早い。

車はサビる。
潮まじりの湿気で、エンジンより車体の方が早くダメになる。島では中古の軽に乗っている人が多いが、たぶんこれは乗用の最適解だと思う。
本土ナンバーの外車をたまに見るが、島では扱える整備工場も少なくメンテナンスも大変なのだ。
部品の取り寄せにも時間とお金がかかる。
島での暮らしに慣れるころにはきっとガタが来ているだろうから、買い替えはちょっとグレードの高い軽バンあたりをお勧めする。

と、このように、島での暮らしでは湿度に悩まされることも多いが、私自身はこの空気が体に合っていると感じる。
私は鼻炎もちで、乾燥に弱い。
飛行機に乗ると途端にくしゃみ連発するタイプ。
コロナ前からマスクを常備している。
だから、湿度にはとても助けられている。
鼻炎は時々出るが、だいぶマシになっていると思う。
その証拠に、今でも本土に行くとくしゃみが止まらない。
滞在中は鼻炎薬を毎日飲まないと辛いほどなので、確実に私の体は、島の湿度になじんでいるのだろう。
革がカビても、車がサビても、体が合っているから、やっぱり島がいいな、と思う。

これから島に住もうかな、と思っている人がいたら、今お持ちのお高い革バッグや革靴は今のうちにメルカリなどで売り払い、安い国産軽自動車を島に来てから購入することをお勧めします。
服はユニクロでいい。
なんなら島のしまむらで買ってもいい。
そして花粉症のあなた。
きっと島暮らしは天国のように感じると思いますよ。

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